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福岡高等裁判所 昭和24年(つ)372号 判決

被告人

山口政俊

主文

本件控訴を棄却する。

理由

控訴趣意第二点(事実の誤認)について、

しかし被告人は原審公判廷で原判示詐欺の事実を自白しておるのみならず、被告人に対する司法警察員及檢察官の各供述調書中でも被告人は自白しており、該調書を証拠とすることにつき被告人及び弁護人は原審公廷で異議なく同意したのであるから、最早自白の任意性の有無を論議する余地はなく(刑事訴訟法第三二六條参照)原判決挙示の証拠に依れば、原判示の詐欺の事実を認定するに十分であるから原判決に事実の誤認はなく論旨は理由がない。

二、殊に詐欺の点につきましては、犯罪の成立についても疑問の点があります。むしろ、これを詐欺と見る事に無理があると思います。つまり事実の誤認があるといわねばなりません。

ところが、此の点に関しては被告人は自白をしております。それへ保釈を熱願したゝめ、故らに自己の有利な主張をしなかつたので、或る意味で被告人の自白には任意性が認められないのであります。

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